令和4年度税制改正により、住宅ローン減税を受けるときの要件は段階的に変わっています。その背景から、要件を満たすために必要な手続きなどをお伝えします。
法改正に関しては、他にもたくさんお伝えしたいことはあるのですが、今回はあくまで、住宅ローン減税に関わる部分だけでお伝えします。ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
令和4年度税制改正により住宅ローン減税の要件が変わりました。
原則として2024年1月以降に建築確認を受けて新築する住宅は、『省エネ基準に 適合すること』が、住宅ローン減税の必須要件となっています。
いつも思いますが、なんだか言い回しが固いですよね。法律の話って。そんな難しい話をなるべく誤解のないように平易に(ってこれはこれで難しいのですが)お伝えしようと思います。
住宅ローン減税を受ける家に必要なこと
住宅ローン減税を受けるためには、建てる家が、省エネ基準、または、それ以上の基準を満たしている必要があります。
引用元:https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000017.html
省エネ基準以上の話をすると、かなり、ややこしくなるので、ここでは「省エネ基準」に絞ってお伝えしますね。
実は今、住宅業界は「改正建築物省エネ法」「改正建築基準法」等、多くの改正が行われていることで、にわかにバタバタした感じになっているのです。
法律が変わるって、いろいろ大変ですよね。
知らなかったから、住宅ローン控除が受けられなかった。ということにならないように、大枠だけでも捉えておくと良いと思います。
そもそも、なぜ省エネ基準が住宅ローン控除を受けるための要件となったのか。
国がすすめている脱炭素社会の実現のため、ということは、なんとなくお分かりでしょう。法改正により、にわかにバタバタしていると先ほどは書きましたが、実際のところは、脱炭素社会の実現に向けて、着々と進められており、本当は急なことではないのです。
ただ、建築会社によっては、法でがんじがらめにされるまでは、特に準備をしてこなかった会社もあるかもしれません。また、実際にスタートするまでは、必要な書類の形式や手続きなどは明確ではない部分もあります。この準備期間中、何度か内容は精査され、今、2025年度の省エネ基準適合の義務化に向け、着々と進んでいる状況なのです。
つまりは「義務化」されるのです。その前に先立って、2024年に建築確認申請をして、これから家を建てて居住するための、住宅ローンに関しては、省エネ基準を満たした家ではないと控除が受けられないですよ。となったということだと思います。
住宅ローン控除を受ける際の手続き
2024年に確認申請を提出し、建てる家については、住宅ローン減税の申請時には、省エネ基準、または、それ以上の基準に適合していることを証明する証明書が必要になります。ご存知でしたか?
そもそも、減税(控除)を受けるためには、確定申告が必要です。昨年(2023年)に新築(居住)し、住宅ローン控除を受ける人も、もちろん、2024年(2月16日~3月15日)に確定申告をしているはずです。
昨年までは、省エネ基準を満たしていることが要件とはなっておらず、一般住宅でも控除を受けることができました。
ここが大きく変わるところで、2024年以降に確認申請を行う場合は、「住宅ローン控除を受けるためには、省エネ基準を満たす必要がある」と、建築会社から説明をされるようになると思います。
そして、省エネ基準を満たしているということの証明書を確定申告で提出することになります。証明書になる書類は、建築会社に確認すればわかると思いますので、2025年、ローン減税の申請をする際には、忘れないようにしましょう。
住宅ローン控除を受けることができる省エネ住宅
ここからは、省エネ基準をより掘り下げてお話することになるので、少し難しくなるかもしれませんが、興味ある方はぜひ読み進めてください。
省エネ基準には「断熱性能等級」と「一次エネルギー消費量等級」なるものがあります。等級というからには、それぞれにランクがあり、等級1から、等級2、等級3と数字が大きくなるほど、ランクが上になります。
断熱性能のランクが上の家には、熱が逃げにくい断熱材が多く使われ、窓枠には熱を伝えにくい材質を使用し、遮熱性の高いガラスを、複数枚使っているのです。イメージできますでしょうか?
そして、エネルギー消費量の小さい家の方が、一次エネルギー消費量等級のランクは上になるのですが、そのような家には、エネルギー効率のよい設備機器が使われます。
断熱性能と、一次エネルギー消費量は、関連していて、家そのものの断熱性能が高くなることにより、より一層、エネルギー効率がよくなるので、全体として省エネ効果があがるのです。
例えば、寒い日にエアコンで暖房しようとします。最近のエアコンは省エネらしい。と、買い換えて電気代が安くなるかと思ったら、全然だった。というようなお話は、買ったエアコンが悪かったわけではなく、家の断熱性能が良くないという可能性も考えられます。
体感として寒い場合は、どうしてもエアコンの設定温度を上げたり、風量を上げたりしますよね。そうすることで、本来使う予定のエネルギー以上のエネルギーを使用することになり、結果光熱費は下がらないということが起こり得ます。
使用するエネルギーを小さくするためには、省エネと言われる設備機器を揃えるだけでなく、断熱性能を良くしましょう。と言われるのはこのためです。
イメージしてもらったところで、「省エネ基準」に話を戻すと、具体的には、家のどこにどんな材料を使って、どういった設備を使用するから、どのくらいエネルギー消費量を削減できるか、設計士が計算で求めます。その削減率と基準を照らし合わせて、等級を決めるのです。
等級について、先ほど等級1からと書きましたが、省エネ基準を満たしていると言える等級は「4」であり、等級「1」の住宅では、住宅ローン減税は、受けられず「一般の住宅」という枠に当てはまってしまいます。
そして、最初にお伝えしたこと
住宅ローン減税を受けるためには、建てる家が、省エネ基準、または、それ以上の基準を満たしている必要があります。
つまり、省エネ基準以上とは、等級としては「4」よりも上のものということになりますよね。断熱性能等級については、今時点で「7」まであり、一次エネルギー消費量等級については「6」まであります。
なお、住宅ローン控除の借入限度額が増額される、省エネ基準以上の基準として、ZEH水準省エネ住宅や、認定長期優良住宅 認定低炭素住宅などがあることは、国土交通省のホームページ資料からも、わかるかと思いますが、これらの内容については、等級のお話だけでは説明できないので、また、いつかお話したいと思います。
まとめ
2024年に家を建てる方に、これだけは知っておいて欲しいこと。
・住宅ローン減税の申請には、省エネ基準を満たしている証明書が必要になる。
※要件を満たしているかどうかがわからないと、控除を受けることができません。
今回の説明。基準や法律というのは、なかなかやっかいだなと私はいつも思います。契約をするタイミングや、建てるタイミング、入居するタイミング、など、様々なタイミングによって生じる違いがあり、ややこしいからです。実はタイミングで言うと、例外的な要素、細かい説明ができていないところもあります。あえて今回は省いたのですが・・
光熱費が安くなる、エネルギー量を減らし、地球温暖化に貢献できると考えれば、これから家を建てる方は、省エネな家を建てたい、建てた方が良いと考えるでしょう。もちろん、私も省エネ住宅をおすすめします。ただ、一方で、物価高騰により、住宅価格がどんどん高くなっているという状況で、どれ程の性能の家を求めるかは各々で考えなければなりません。
これから、住宅ローンの金利などもどうなっていくか分からないですし、人生で一度の大きな買い物と言われる、家を買うという行為は、迷うこと、不安なことばかりです。
より高い等級(性能)を求めれば、当然、建築費用は上がっていきますが、省エネになることで、ランニングコスト(冷暖房などの光熱費)は、押さえられると考えられますし、様々な観点からの検討が必要になると思います。
難しいことはたくさんですが、不安や悩み、迷いがある、知りたいことがあるけど、建築会社へ行くのは敷居が高い、そう思われた時には、ぜひ、住まいと暮らしの相談窓口「じゅうmado」をご利用くださいね。
(じゅうmado宇部 川村菜穂子)