RELATED 関連記事

建築基準法が変わる!求められる省エネ住宅

2025年4月より建築基準法の改正が行われます。変更の目的として、「省エネルギー対策の強化」と「木材利用の促進」が挙げられています。

今回はこれから家を建てる方にとって、特にポイントとなるであろう「省エネルギー対策」について、お伝えしたいと思います。

「省エネルギー住宅」については、昨年にも少し触れたのですが、その時は住宅ローン減税に関するお話でした。

住宅ローン減税を受けるための要件として、省エネ住宅であることが既に必要になっていますが、今回は、さらに、新築するなら「省エネ住宅」にする必要があるという法改正になりますので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。

法改正「省エネ基準適合の義務化」とは

まず、この改正により何が義務化されるのかを具体的にお話していきたいと思います。

すべての新築建築物(小規模な住宅も含む)が対象となるもので、これまでは義務化の対象外だった小規模建築物や住宅も適用対象に含まれるようになるということです。

ここでは、まず、省エネ住宅とは何か、その具体的な「基準」について先にお伝えしましょう。

ここでいう省エネ住宅とは、省エネ基準に適合している住宅のことをいい、以下のa.外皮性能、b.一次エネルギー消費量の数値で判断するようになっています。

a. 外皮性能(断熱性能)

・建物の外皮(壁、屋根、窓など)の断熱性能に基準があります
・断熱性能の基準として、UA値(外皮平均熱貫流率)、ηAC値(冷房期日射熱取得率)といった数値基準が定められています。

言葉がわかりづらいですね。漢字がたくさん、見たことがない記号と単位、ちょっと嫌になってしまいます。

実際の計算は、建築士のお仕事でもあるので、任せてよいと思いますが、ぼんやりとしたイメージだけつかんでみてください。

外皮っていうのは、建物の外回り(建物を覆っている面積)であり、外気に触れている部分を差しています。人でいうと皮膚全体の面積みたいなイメージでしょうか。まあ、服を着ているので、直接外気には触れませんけどもね!

この外皮には床も含まれます。土に触れている足も含まれるということです。

よく見るイラストは下記のようなもの。

国土交通省の参考資料より抜粋

このイラストの黄色の波波部分が断熱材。外皮というのは、断熱材が入っている部分を境にして考えます。外気に触れる部分と先ほどいいましたが、外皮は、屋根に断熱が入っている場合には、屋根と考えて、天井に断熱が入っている場合には、天井と考えるのです。

つまり、人間の皮膚・・といいつつ、実際は服を着ていると言ったように、この服が断熱部分だと考えれば、ふかふかのダウンをたっぷり含んだ服であるか、あるいは、うすい素材の服であるか、それによって、体が感じる温度が変わってきますね。そんなイメージをしてもらえるとわかりやすいかと思います。

そして「外皮平均熱貫流率」ですが、イメージするためのポイントは熱貫流という言葉。

熱貫流とは、熱が貫いて流れると書いていますが、温かい空気(例えば室内)と冷たい空気(例えば外気)が壁を挟んであるとすると、温かい空気が冷たい空気へ流れていく現象のこと。

断熱材の効果が高ければ、この流れを食い止めることができるっていうことですね。

断熱効果が高いと、温かい空気を外へ逃がさない。あるいは、暑い空気を中へ入れないことになり、結果的に暖房や冷房の出番を少なくし、省エネになります。

数値基準は、平均と書いてあるように、建物全体でその流れる率の平均を算出します。その算出した値が、基準値以下になることが、必須となります。

では実際の数値とは?

実はクリアすべき数値基準は地域によって異なります。日本列島気温差が大きいですからね。地域区分のイメージ図はこんな感じです(具体的には、最寄りの相談窓口に聞いてみると良いかもしれません)

国土交通省の参考資料より抜粋

地図で見て頂いた通り、北から1地域、南が8地域まで。基準は1地域の方が厳しくなります。※厳しいというのはクリアすべき基準値が小さいということです。

b. 一次エネルギー消費量

照明、空調、給湯、換気などの設備を使用するときのエネルギー消費量に基準があります。

次に一次エネルギー消費量って何?っていう話ですが、先ほどちらりといいましたように、断熱性能がよければ、エアコン利用が少なくなるということもあり、外皮の計算をした後に、一次エネルギー消費量の計算をすることがポイントです。

言葉としてのイメージは外皮よりはわかりやすいかなと思うので特に解説はしませんが、実際にエネルギー消費量が小さければ小さいほど、省エネということになりますよね。

そのために、省エネ性能が高い、あるいは、高効率な住宅設備機器を使うということになります。方法としては機器を選ぶだけといえば、だけなので難しくはないですが、単純に良い商品(省エネ効果が高い商品)になれば、価格が高くなる傾向にあります。

どの商品を選ぶか、考え方は様々ですが、エネルギー効率が良いとなければ、その分ランニングコストが押さえられると考えますので、イニシャルコストが高くなっても選択しよう!ということになるでしょう。

ただし、生活の仕方や、暑さ寒さの感じ方は、個人差があるので、どっちが得?とか、何年後に得?とか考えるのは、難しい話でもあります。シミュレーションなど、例を出して解説しているサイトなども活用しながら、ご自身の生活と比較検討してみても良いかもしれませんね。

また、エネルギーを利用する設備機器というのは、新商品が次々出てくるものですし、どのタイミングで、何を選ぶか、悩みどころではありますが、ご自身なりの最善を見つけてみてくださいね。

省エネ住宅の補助金や施策の歩み

既に義務化されるタイミングでもあるので、補助金額としては、減少傾向ではありますが、それでも、補助金をもらえるならもらいたいですよね。

義務化される前から、先ほど伝えたような省エネ住宅の考え方や基準は、考えられており、もしかしたら「ZEH住宅」という言葉も聞いたことがある人もいるかもしれませんね。

ZEH住宅に関する取り組みは、10年以上前から始まっていて、ZEH住宅にすることでもらえる国からの補助金など、ここ何年も続いています。

ここで、その概要を簡単に振り返ってみましょう。

ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)補助金のはじまり

背景として、 省エネルギー基準の法制化や東日本大震災後のエネルギー政策の見直しがありました。このとき、 ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)である住宅を建築する場合に、補助金が提供されるようになりました。

WEBサイトでのご案内 → ゼロ・エネルギー・ハウス補助事業
※これは、経済産業省で、ZEHの普及を目指し行う政策であり、2016年からはZHEビルダーが建てる基準を満たした家としてビルダー登録が必要になっています。

長期優良住宅や低炭素住宅支援の補助金のはじまり

長期優良住宅や低炭素住宅である家の新築を行う際、補助金や税制優遇措置が提供されるようになりました。例えば、地域型住宅〇〇事業と、年によって名前を変えながらも、継続して行われていました。リフォームの場合でも要件が整えば提供される補助金もあります。

どちらかというと、現在、税制優遇の拡充という部分で、建築することが多い性能の高い住宅という位置づけですが、省エネの観点で特化した住宅として位置づけられているのは、低炭素住宅(二酸化炭素(CO2)の排出量を抑制する仕組みとして条件が設定された)といいます。

WEBサイトでのご案内 → 国土交通省(長期優良住宅支援制度)・(認定低炭素住宅支援制度

住宅省エネ支援の強化

2020年には、あらためて 【2050年カーボンニュートラル目標】の発表がありました。その施策として、ZEH住宅の補助額が引き上げられ、リフォーム支援も強化されています。省エネ住宅が、義務化されることも、この年には発表されており、新築層は、特に補助金を活用して、より性能の高い家を建てるようになりました。

住宅省エネキャンペーン

・最新の省エネ住宅に特化した補助金制度。
・エコ住宅設備、窓断熱改修、高効率給湯器の設置など、より具体的な省エネ施策が対象。

ちなみに、ZEH補助金の前に、省エネ住宅の補助制度として、住宅エコポイント制度というものもありました。この頃は、補助金ではなく、ポイント制で商品券などと交換できたり、指定商品と交換できたりすることで、新築、リフォームなどをする際にお得感を得られていましたね。

このように、様々な取り組みが特典や条件を変えながら、長年に渡って行われているのです。条件に合致するようであれば、ぜひ利用しましょう。

WEBサイト案内 → 住宅省エネキャンペーン2024

補助金については、その時々によって内容が変わってくるため、都度、詳しい内容を確認する必要があります。リンクとして案内したように、個別に詳細を案内したページなどもありますし、全体を確認するには、国土交通省のページを確認するのが良いです。

現時点での最新情報としては、2024年11月29日に閣議決定された、令和7年「子育てグリーン住宅支援事業」で、概要が発表されていますが、家は即決できる買い物ではないので、先を見据えて計画を立てるということも必要だと思います。

WEBサイト → 国土交通省(子育てグリーン住宅支援事業)

省エネ住宅にもレベルがある

最初の項目で説明したように、新築するためには、定められた基準値以下でなければならず、基準値をクリアすれば、省エネ住宅ということができるのですが、省エネ性能には、レベルがあり何段階にも分かれています。

つまり、どのレベルの家にしたいのか?ということは、義務化とは関係なく、ご自身で考えないといけません。どのレベル?と言われても、なかなか判断がつきにくいのが難しいところかもしれませんね。

では、多くの方がどうやって決断しているのか?

建築会社は、数値のアピール合戦になっています。私たちが建てる家は、等級〇〇ですよ。あるいは、ZEH基準ですよ。あるいはHEAT20ですよ。省エネラベル★いくつですよ・・

この業界にいる私たちでさえ、混乱しそうな状況です。ひとつ確かなことは、断熱性能が高い(数値レベルが良い)家ほど、高価な家であるということ。当たり前の話ですが、より良い材料を使った家、より良い設備を使った家に住むことで、地球温暖化対策に協力しようと、その分お金を支払うわけです。地球温暖化対策というとちょっとピンとこない人もいるかもしれませんが、国がすすめているのはこの部分ですよね。そして、皆さんが実際に支払う対価として得るものは、家の中で省エネでありながら快適に暮らせるということ。最初に支払うイニシャルコストが高くても、その後支払うランニングコストが安くなるというメリットです。

年々、異常気象と言われるような昨今ですから、せめて家の中だけでも快適にしたいというその思いが、どれほどなのか、ご家族のお財布事情も考えながら決断する必要がありますね。義務化されたレベルで良いのか、もっと省エネ性能を高めたいのか、それはみなさんのお考え次第なのです。建築会社で進められるレベルが本当に必要かどうかは冷静に判断する必要があると思います。

ただ、今回は、義務化されるというお話。つまり、私は寒くても大丈夫、断熱材なんていらない!といっても、そのような家は、建てることができなくなる。ということなのです。まあ、さすがに新築したい人で、そういう人はいないかもしれないですけどね。

法改正については、まだまだ、たくさんお話すべきことがありますが、それはまた次回・・

(じゅうmado宇部 川村菜穂子)

お問い合わせ

住まいのことで迷ったら
お気軽にお問合せください

お問い合わせはこちら

全国の
じゅうmadoの窓口

鹿児島県

鹿児島

tel
050-3573-3530
map
Google MAP
add
鹿児島県鹿児島市東千石町
2-13 山王ビル2階201 Switch内
詳細ページ
富山県

魚津

tel
0765-24-7471
map
Google MAP
add
富山県魚津市吉島
1679-15
詳細ページ
富山県

富山

tel
076-461-5787
map
Google MAP
add
富山県富山市野口812
ハイズKUREHA内
詳細ページ
愛知県

岡崎

tel
0564-64-7005
map
Google MAP
add
愛知県岡崎市戸崎元町4-1
リビングスタイルハウズ北館内
詳細ページ
滋賀県

長浜

tel
0749-65-5525
map
Google MAP
add
滋賀県長浜市北船長3-24
えきまちテラス長浜2F
LOCO Living内
詳細ページ
鳥取県

米子

tel
0859-38-8010
map
Google MAP
add
鳥取県米子市両三柳
2360-8
詳細ページ
山口県

宇部

tel
0836-54-1139
map
Google MAP
add
山口県宇部市西岐波区宇部
臨空頭脳パーク13番
詳細ページ
岡山県

岡山

tel
086-897-0913
map
Google MAP
add
岡山県岡山市北区問屋町9-101
タイルビル3F fabbit岡山問屋町内
詳細ページ
あなたの計画は大丈夫? 1分でできる住宅計画チェック よくあるご質問はこちら
ご相談の流れ どこからどこまでサポートしてくれるの? お問い合わせ お気軽にご相談ください
あなたの計画は大丈夫?住宅計画チェック 全国ご相談窓口はこちら!