今回、「ライフスタイルに合わせた住まいにしよう」というタイトルにしましたが、まず、ライフスタイルとは、そもそも何?という話。
そのままだと、生活のスタイル、生活の様式という感じですよね。ただ多くの場合、私のライフスタイルというような使い方をする際には、私の生き方というようなイメージで使われていることが多いように思います。
つまり、個人の人生観や価値観、あるいは、習慣などのこだわりの部分も含めて、テーマを広く持たせることができます。その分、少し範囲が広くなるので、ここでは個々のニーズや価値観に応じて選択するコンセプトハウスについて、いくつかお伝えしようと思います。
大前提として、個々のライフスタイルがあり、このライフスタイルに合わせることを想定したお話になります。良かったら最後まで読んでみてくださいね。
ミニマリストの住まい
ミニマリストというと、そもそも物を持たない、シンプルな暮らしをする人。
家を設計する上で、一番の特徴は、収納スペースが少なくても良いということですよね。多くの人が、収納スペースをどう確保するかということに頭を悩ますものですが、その心配が無いという意味では、とても楽に感じます。
ただ、極端なミニマリスト以外には、必要最低限の生活品を置いているでしょう。
シンプルを好むため、ミニマリストになる人の思考としては、家の中の整理整頓は必要不可欠だと思います。そうなれば、見た目をいかにすっきりさせるかが重要になってきますね。
生活品など、ごちゃごちゃして見えるものは、隠せるようにする。ミニマリストとはいえ、掃除道具などもあるはずです。スッキリ、かつ、使いやすい場所へ収納するよう、最初から定位置を決めておくことがおすすめ。
長く暮らす家の場合、その時々によって、持ち物は変わってくるものです。ただミニマリストであれば、同じ用途のものを複数買ったりしないし、同じ用途で新しい物を買う場合は、買い替え、つまり前のものは処分するという方がほとんだと思うので、その点も、スッキリした住まいを保ち続けるには、利点となります。
しかし、家族で住む家となった場合には、当然ですが、家族が同じ思考である必要があります。もしかしたら、ここが一番問題になるかもしれませんね。
シンプルな家づくり。これまでお話したように、簡単に感じますが、ご夫婦で、趣味趣向が異なる場合は、一方にとっては、落ち着かない部屋だったり、不満に思う暮らしになってしまう可能性もあります。
そのため、設計の段階で、ミニマリストが今ではなく将来も続くゆるぎないものであるかどうかということ、家族でその意志が強いということ、ここは重要です。収納はあまりつくらないのが、物を増やさないコツという話を聞いて、がんばってミニマリストになろうと思っても、長続きしなかったら後が大変ですものね。
テレワーク対応の住まい
コロナ禍での設計でよく話題になったのが、テレワークの場所。小さくても良いから、専用のスペースが欲しい。あるいは、比較的静かな場所になる位置にスペースが欲しい。というような要望です。
そして、現在はどうなのでしょうか?テレワーク自体が減ってきているという状況。会社によっては、引き続き可能なところもあれば、現在は、出社するというルールに変わったという会社もありますよね。
テレワークしなくなった場合、その場所はどのように使われているのでしょう?おそらく一昔前は書斎という名の部屋だった、お父さんの仕事部屋。最近では共働きの方も増えているので、お父さんに限らずお母さんの部屋でもあるかもしれない、書斎ですが、そういう場所があるのは、悪くないと思います。
仕事関係のものが、家にあると、ごちゃごちゃしがちなので、そういうものを、1箇所にまとめて置くと良いですし、それだけでも、家での時間(リラックスタイム)と仕事時間を分けることができて、ストレスを感じにくくなるのではないでしょうか。
また、会社の意向云々は関係なく、個人的に在宅での仕事を望まれている人もいるかもしれません。そのような場合、ある程度リラックスして仕事ができるスペースとして考える必要もあります。

仕事はストイックに集中して行うものというイメージがあるかもしれませんが、集中するためにはリラックスすることも大切です。そのため、書類の整理やパソコン周辺機器の配置など使い方を考えると同時に心地よさも考えてみてください。
狭い空間の方が落ち着く、外の景色が見えた方が落ち着く、などそれぞれの心地よさがあるはずです。これによりワークライフバランスもしっかりとれるようになりますよ。
どこにワーキングスペースを配置するかについても、ライフスタイルに大きくかかわってきますね。寝室の隣にという人もいれば、リビングの近くにという方もいらっしゃいます。ご自身の部屋の近くにという場合、日中お子さんが居ない時間は十分に集中できると思いますが、仮に午後には学校から帰ってくるという場合は、どうでしょう?お子さんのお部屋とも距離が近い場合は、集中しづらいかもしれません。
お子さんが小さいうちは、部屋よりはリビングで過ごすことが多いでしょうから、大丈夫かもしれませんけどね。
いつも思うことですが、ライフスタイルというのは、長い年月の間、ライフイベント、ライフステージによって変わってくるのです。そのため、状況の変化にも対応しうるような計画をしておくことがより望ましいですよね。
自然を感じられる住まい
このコンセプトは窓の外の自然な風景を望めるというイメージで考えます。家自体が木でつくられているからというよりは、今回は窓の設計や庭とのつながりなどがポイントですね。
例えば、キッチンに立っているときも、外の風景が見える位置に窓があるとか、食事中は外を見たいとか、子供と一緒に庭で遊びたいとか、いろいろな思いがあることでしょう。
自然を感じることだけに関係しているわけではありませんが、窓の位置、大きさなどは重要なポイントになります。
見える風景だけでなく、日が差し込む時間、風の通り道など、自然を感じる要素はたくさんありますし、一方で、西日が差し込む時間がたっぷりあると、暑くて大変ということもあります。
また、最近は省エネの観点から、窓のサイズを小さくされる方が増えてきました。家の中で快適に過ごすために、壁には断熱材を入れることができますが、窓の部分は、どうしても熱損失が大きくなるために、少しでも窓のサイズを小さくしようというわけです。
先ほどの、風の通り道にしても、花粉症対策などのため、窓を開けない暮らしをされる方が増えている中で、自然を感じたいということは逆行しているとも言えますね。
こんな風に、世の中の流れや流行りとは別に、ご家族の考え方、ライフスタイルによって、求めるべきことは大きく変わるということです。省エネブームの中で、自然を感じたい、窓を大きくしたいという要望もあることからか、大開口(大きな窓)でも、断熱効果がありますというコマーシャルを見るようになりましたね。
やっぱり、きれいな庭や外の風景をしっかり感じたいという方のために、窓をたくさん増やしても、快適な室内空間を目指しましょうというわけです。
(参照)CM:【YKK AP公式】2024「APW 651 木のぬくもりと暮らす篇」30秒
ペットと暮らす住まい
最近は、家の中で家族同様に生活するペットが増えました。お子さんのように可愛がっている家族もたくさんいらっしゃいますね。犬派、猫派などとも言われますが、もちろん、両方とも一緒に暮らしているというご家族もいらっしゃいます。
家族同様に考えるなら、彼ら彼女らの暮らしも一緒に豊かにしてあげたいと思いますよね。
ネコちゃん用のソファーや、ワンちゃん用のおうちなど、インテリアも様々な商品があります。もちろん、ペットは、犬や猫だけでなく、他の動物、生き物たちを可愛がっていることもあるでしょう。
そんな家族のことも考えて、快適な空間をつくろうとすることは、楽しい時間ですよね。
特に最近多いのは、ネコちゃんのための部屋。
ネコ用の何かをリビングに置くということではなく、この部屋がネコ用なんですという。まさに家族の一員、ペットを飼っていない私からすると申し訳ないけど、なんと贅沢なお話と最初は驚いたものです。
しかし、何度も言うように家族なんですから、喜ぶことをしてあげたいと思う気持ちは私でもわかります。キャットウォークが壁や天井にある、広々空間をゆうゆうと歩き回れる、そんな空間が、その家に住む人たちにとっても、リラックスできる場所なのかもしれません。
他には、大きな水槽を置く場所をつくったり、ペットが通るための戸があったり、建物そのものに、様々な工夫を凝らすこともできます。また、お散歩から帰ってきたときのルートを考えたシャワールームだったり、遊びだけでなく、日常もしっかり考えてみるとよいでしょう。
そんなペットと暮らす家、ペット中心に考えられた家とも思える家ですが、快適空間として考えるだけでなく、使う素材についても、あわせてぜひ考えてみてください。ねこのひっかきぐぜ、カーテンにジャンプして、びりびりと破けてしまうことも少なくありません。こういう日常が、もしかしたら人にはストレスだと感じられる可能性はありませんか?
そう思うなら、ひっかかりにくい素材をできるだけ選ぶようにするとか、カーテンではなく、ロールスクリーンやブライドタイプにするなども考えてみましょう。開けているときは、カーテンと違って、窓上に巻き上がっているものであれば、ひっかかる率としては減りますよね。
さて、いかがでしたでしょうか。各テーマごと、他にもいろいろお話したいことはありますが、今回はコンパクトにまとめてみました。家づくりの計画は、いろいろな視点、観点から考える必要があります。だからこそ、まだまだお話しないといけないという気持ちも出てくるわけですが・・
ご自身のライフスタイルが、確立している場合は比較的コンセプトハウスとして特化しやすいと思います。もし、自分が家を建てるなら、こんな家がほしいを考えるときに、自分の暮らしが豊かになることを想像する。こんな暮らしが理想であるということを想像することで、みえてくるものがあります。そして一呼吸おいて、もっと考えることがあるのでは?と、想像してみてください。
どんな風に、何を考えれば、こんな家が欲しいを実現できるのかを、多くの相談者とお話したり、成功例、失敗例を見聞きすることで、導き出した答えが、実はじゅうmadoにはあります。もし、不安に思ったり、どうしたらいいのかな?と疑問に思っているなら、一度近くの窓口に相談してみてくださいね。
(じゅうmado宇部 川村菜穂子)