『令和5年(2023年)に、空き家法が改正された』と、なんとなく耳にされたことがありますでしょうか。
自分ごとではないと感じている方は、このページには辿り着かないと思いますので、少なからず、気になっているのではありませんか?
今回は、改正された内容の簡単な説明に加えて、具体的にどうしたら良いのだろうかと迷っている方に向けてお伝えします。
じゅうmadoとして、空き家問題にも取り組んでいく必要がある。多くの放置された中古物件の流通に関して、出来ることがあろうだろうか。そんなことを思いながら、記事をまとめましたので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
改正された空き家法とは
国土交通省が、「空き家対策 特設サイト」というものを立ち上げていたので、興味深く閲覧してみましたが、実際のところは、まだまだ、これからなのかなという感じでした。
参照:国土交通省サイトへ
空き家対策特設サイト「空き家対策ってなに?」
空き家をそのままにしておいては、様々な危険・問題があるということは分かっているものの、具体的な対策が進まないのが現状なのかもしれません。
令和5年(2023年)12月13日に施行
空き家改正法は、令和5年(2023年)12月13日に施行されています。まず、これにより何が変わったのかというところを説明したいと思います。
これまでは、「特定空家」が、市区町村から指導・勧告される対象でしたが、これに加えて、「管理不全空家」も対象になったのです。さて、だからどうだというのでしょう?
そもそも、特定空家という言葉さえ耳慣れないかもしれませんが、これは、このまま放置していると倒壊の恐れがあって大変危険だと判断されている空家になります。
放置していると危険なため、撤去してください。という指導・勧告を受けることがあるのです。
では、管理不全空家とは、どういうものなのか。
これは、このまま放置すれば特定空家になるおそれのある空き家ということです。すぐすぐには倒壊しないかもしれないけど、このままの状態で放置していれば、いずれ倒壊の危機にさらされるので、きちんと管理してくださいね。と、指導されるような空き家ということになります。
管理してくださいね。と言われても・・。現実管理ができていないから、そのような指導を受ける結果になるようにも思いますが。
今現在、空き家は、至るところにあります。しかし、一見して空き家とわかる危険な空き家もあれば、そうではない空き家もあります。そうではない空き家は、当然、管理されている空き家だと思われます。
きちんと管理されていない危険な空き家と判断されれば、市区町村から指導を受けますが、その指導に従って、管理しない場合は、勧告を受けることになります。
特例措置の除外
勧告を受けると、「住宅用地の特例措置」の対象から除外され、税金が高くなります。
ここで、皆さん、はじめて、えっ!と反応するのではないでしょうか。
管理してくださいね。と言われたとしても、その気はあっても出来ないんだよなぁ。と、なんとなく放置してしまう可能性も。
しかし、固定資産税の優遇措置が適用されなくなり、固定資産税額は、更地状態と同等になるとどうなるのか。
「住宅用地の特例措置」を受けている土地の固定資産税は、小規模住宅用地(住宅などの敷地で200平方メートル以下)の場合、 固定資産税が、6分の1、都市計画税が、3分の1になっていますので、単純に、固定資産税は6倍、都市計画税が3倍なると考えられます。
税金は、固定資産税評価額に対する倍率で計算されますので、評価額がいくらかによって、どれだけ税金が上がるかは違います。
税金として課される額に驚くかもしれないですよね。
この「住宅用地の特例措置」の対象から除外される空き家が、今までは「特定空家」であったのに対し、その前段階の「管理不全空家」も対象になってしまったというわけです。
多くの税金が徴収されるのであれば、そのまま放置しておくよりは、解体した方がいいと思えたでしょうか。
維持するか、解体するか
解体には費用がかかります。解体して更地にしたとしても、かかる税金は「住宅用地の特例措置」を受けることができない土地となるだけなので、解体しても、しなくても同じなのでは?と、ここで素朴な疑問が生まれるのは私だけでしょうか。
私と同様に思った方、まだ、続きがあります。
実際は、放置し続けたのち、「特定空家」の対象となり、さらにその後勧告を受けることになり、その命令にも応じずに違反となれば、最大50万円以下の過料が課せられるということ。
できることなら、そうならないように、手立てをして欲しいと願うばかりです。
解体する費用を捻出するのが、難しいとすれば、少なくとも維持することを考えなければいけません。その際には、特定空家にしない、管理不全空家にしない、そのための管理をする必要があるでしょう。
空き家を放置しない理由
ここで、管理する、維持する、その理由をもう少し考えてみましょう。「特定空家・管理不全空家」にしないためだけではなく、もう少し自分自身のために考えてみてください。その空き家を将来どうするのだろうか?
住まいの健康予防
まず、家・建て物、これ自体を、ご自身の体の健康と同じように想像してみましょう。小さな病のうちは、市販の薬で済むようなことだったのに、放置していたばかりに、病院にかからないといけなくなったとすれば、診察料などの費用が発生してしまいます。
小さな町医者(という言葉が適切かどうかわかりませんが)で、事足りるような症状だったのに、放置していたばかりに、大きな総合病院で検査を受けることになれば、検査料も時間もかかります。負担はどんどん大きくなるばかりですね。
運動をしたり、食事に気を付けたり、少し時間を使う、あるいは、少しお金を使うだけで大事には至らないとすれば、予防することも大事なのではないでしょうか。
もちろん、病には先天的なものもありますし、環境とか、状況によって、同じように過ごしていても病気になる、ならない、ということがあるでしょう。あいつも同じような食生活だから、俺も大丈夫などと思うのは、間違いです。
同様に、家に関しても、建築時の状態、環境によって、劣化症状の進行が早い、遅いがありますので、他の家と比較するというよりは、自身の目でみて、少しの時間でも、手入れをすることで、健康状態を長く保つことが出来ると思います。
このように、健康状態を保つことで、後々、大きな費用が発生するのを防ぐことになります。
ご存知でしょうか。家が何故、劣化する(病気になる)のか、症状が出たときに、どう対処すればよいのか。家のことを知っているだけで、空き家に対する向き合い方が変わってくると思います。
病の原因が分かっていれば、予防できる。
ぜひ、皆さんには、まず、家(建物)のことを知って欲しいと思います。
住まいのことを知る
仮に、空き家となった家でも、家のことを知り、家の健康をできるだけ保っていくことで、将来的に自分が住むことができるかもしれませんし、子供たちが住むこともできるかもしれません。また、売却金額が上がるかもしれません。
何故劣化するのか?を知る事がまず大事なのですが、ひとつの要因としてあげられるのが、空気環境の悪さです。
空気環境の悪さとは、空気の通りがよくない状況ということです。例えば、窓を閉めっぱなしにしている家は、劣化が早いとか、維持管理のために、時々窓を開けに行く、ということを聞いたことがあるのではないですか?
管理の基本として「窓を開ける」「空気を入れ替える」は、まずやるべきこと。
その時に、仮に家の中に多くの荷物がある状態だと、部屋の隅々まで空気がめぐりにくくなります。空き家になった後、当時住まわれていた人の荷物をそのままにしているケースがありますが、これはお薦めできません。
空気の循環が悪くならないように、不要な荷物は処分し、必要なものは整理整頓することがまず第一段階として必要です。
人の病気で考えると、血管やリンパなどの循環が滞ることで、様々なところに悪い症状が出てくることと同じに思えます。私達も、呼吸を整え、新鮮な空気を吸い込みたいですよね。
ぜひ、家の空気環境をよくしてあげてください。
また、窓の開け閉め以外に空気環境に関して、考えるべきは、通常状態での通気。あえて窓をあけずに、どの程度通気があるか。
最近の新しい家は、魔法瓶のような家とも言われているように、断熱性能、気密性能が高い家が多くなっています。理由としては、冬の寒さや夏の暑さに対して省エネで過ごす為ですよね。その分、機械による、計画的な換気をしたりしています。それは住む人のためだけでなく、家そのものの為でもあります。
劣化させない対策
昔の家は、最近の家とは違い、気密性が悪く、空気が通り易くなっています。冬は隙間風が入って寒いとか、床下が冷えて冷たいとか、居住環境としては、心地よくないために、敬遠されていますが、住まない家であれば、多少隙間風が入る、床下に空気が流れる方が、空気環境という意味では良いと思います。
しかし、劣化が進む可能性もはらんでいます。隙間が、風を通すものであれば良いですが、隙間から雨が降り込むなど、雨漏りの原因になってしまった場合は、とてもやっかいです。
皆さんもご存知のとおり、雨漏りをして、濡れた状態のまま放置していれば、当然、木は腐ってしまいます。
一度振り込んだ水が、乾くためには、たくさんの太陽にあたる、たくさんの風にあたる必要がありますが、閉めっぱなしの家では、それは望めません。家は造りも複雑で、水の逃げ場がない、たまってしまうようなところがあれば、より深刻な問題です。
また、昔の家の床下を、今の家以上に通気を良くしておかないといけない理由がもうひとつあります。それは、床下が土のままだからです。土も水気を含み湿気てしまう可能性が非常に高いのです。その床下からの湿気が、木を腐らせるのですね。
また、床下の通気のためにつくっている換気口ですが、場合によっては、閉めることができるようになっているものもあります。先ほど伝えた、居住環境をよくすることを目的として、床下の通気を遮断するために考えられたものですが、これは、季節にあわせて、開閉するものですが、それを知らずに、閉めっぱなしの状態で、放置されているケースもあります。
補足ですが、新しい家の床下は、コンクリートになっていることが多いです。この場合、土からの湿気に関しては、防止できますが、逆に万が一にも水がたまったりした場合は、水の逃げ場がないということにもなります。
ご自身の家を知るということは、古い家、新しい家に限らず、現在住んでいる、居ないに限らず、必要なことなんですね。
空き家を相続したら
最近、相続手続きをしないと問題になる。という話を聞くようになり、少し気になっている人もいるのではないでしょうか。相続する建物が、空き家ではなく、親と同居していた本人がそのまま継続して住んでいて手続きをしていないというケースもあると思いますが、その場合は速やかに相続手続きを済ませると良いでしょう。
相続した空き家の行方
相続した本人が、遠方に住んでおり、相続しても困る場合もあります。管理の仕方や家のことを知ろうとしても、そもそも、そんなことができないというケース。
そういう場合は、いったいどうしたら良いのでしょう。レアなケースなのかもしれませんが、相続する物件がどこにあるのかを、知らないという人もいらっしゃるんですよね。
予定外に相続することになってしまった場合、相続の準備をしていなかった場合、その後はどうしたら良いのでしょう。
できるだけ、空き家にしないために、家の状態によっては、売却することができるかもしれません。売却したいなら、住宅査定を行ってみましょう。
また、将来的に自分が利用したいと考えるものの、現時点では遠方に住んでいるために難しい場合、空き家の管理を誰かに依頼するという方法もあります。もしくは、賃貸する方法もあるでしょう。
賃貸する場合には、将来どの時点で、自分が利用する予定なのか、なども予め想定しておいた方が良いと思います。
管理を依頼する場合も、どういう管理の仕方なのか、双方で理解が必要です。
どこに相談するのか
不意に空き家を相続することになった場合には、準備が整わないということが多々あると思うので、どうすれば良いかを相談できる場所が身近にあると良いですよね。
じゅうmadoは、暮らしの相談窓口として、建物だけにとどまらず、このような困りごと相談の窓口にもなっています。相談者の状況により、どのような問題があるのか、その問題を解決するにはどうしたら良いのか。
すべての相談が、じゅうmadoアドバイザーにより解決できるわけではないので、各種専門家との連携をしながら、窓口運用をしています。各種専門家は、その専門の分野で、ビジネスをしている方々となりますので、その後の対応によっては、費用が発生することもあると思いますが、まずどうして良いかがわからないという場合は、無料なので、じゅうmadoのような相談窓口を利用するのも一つの手ですよね。
お話していただいた内容によって、相続した空き家の住宅査定をしたら良いのか、インスペクション(建物状況調査)をしたら良いのか、はたまた相続手続きそのものがまだなのか、相続人の間で解決していない問題があるのか、リフォームしたほうが良いのか、費用はどのくらいかかるのか、お金の問題を解決できるか、などなど、様々なことが考えられます。
今後のことや、手続きの内容などが明確であれば、それぞれの業種を専門にしている方にお願いしましょう。
・家の売却 ⇒ 不動産屋
・家の維持管理 ⇒ 不動産屋
・相続手続き・相続準備 ⇒ 司法書士・行政書士
・相続税の計算 ⇒ 税理士
・リフォーム ⇒ 建築会社
まとめ
今回のお話のテーマは「空き家法の改正」ですが、法律を知るだけでなく、住宅そのものや、手続き上のことなど、様々なことが関連していると、なんとなくお分かりいただけたと思います。
空き家をどう活用するか、どうすれば活用できるかなど、もっと具体的なお話は、またいつかの機会にできたらいいなと思いますが、空き家を放置しないために、できること。具体的なことをぜひ、みなさんには、想像して欲しいと思います。また、今ではなく、将来のことだったとしても、後回しにしないように考えてほしいと思います。
じゅうmadoについては、時に誤解されることもありますが、無料の相談窓口といいつつ、最初の相談だけ無料なのでは?とか、実際は、何かで費用がかかるのでは?と思われる方もいらっしゃるようです。そう疑うのも無理はないかなと思いますが、最初の相談だけ無料ということではありません。
先ほども書きましたように、各種専門家の方が通常ビジネスで行っていることを、お願いすることになれば、専門家の方に対しての費用は発生します。その際にも、仲介料、手数料など、じゅうmadoを利用したことで、じゅうmadoに対して支払いが発生することはありません。
他、相談を受けること(お話を伺うこと)以外にも、無料でできることがあります。例えば、じゅうmado住宅診断といって、建物の状況を調査するもの。相続した物件で住宅診断をすると良い理由は、現状把握。
最初にお伝えしたように、まず建物のことを知ることが大切だからです。この建物の状態であれば、どういう対策をした方が良いとか、この建物は、このような造りなので、こういう問題が発生しやすい、など、空き家を維持する、売却する、利用する上で、必要な情報を知ることができます。
もう少し補足すると、じゅうmado住宅診断を利用すると良い事例は、空き家の相続だけに限りません。今現在、お住まいの家の将来の安全のために行うこともあります。将来、大切な誰かに相続する家が、喜ばれる家であるためにも、今の状態を知って、丁寧に暮らすのもよいかもしれませんね。