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空き家の相続、どういう悩みが多いの?どうしたらいいの?

以前に「空き家法の改正」について、記事を書きました。その後行われた「空き家の相続とお金の話」というセミナーには50名を超える方にご参加いただき、講師の方とお話したり、相談に来られる方とお話する中で多くの学びがありました。

今回は、そんな「空き家」に関する意識の変化、問題点などをお伝えしたいと思います。

じゅうmadoでは、各窓口ごとに様々な取り組みを行っています。空き家の活かし方としては、地域性もありますが、根本の問題については、共通していると思いますので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。

現状の空き家の悩み

現在すでに、空き家になっている場合の対策としては、以前の記事でもお話した部分もありますので、そちらもよければ読んでみてください。

空き家を維持、管理したいという理由で持たれている人は、ある程度、管理の仕方を心得ておられて、対策はされていると思います。人が住まなくなると、家は朽ちるのが早くなることは、多くの人が聞いたことのあること。つまりは、住んでいなくても住んでいるような環境にしてあげること、その努力が必要だということです。

ただ、中には維持したいわけではないけれど、維持せざる得ないという状況の場合もあると思います。

例えば、売却をしたいと思っているけれど、売却が困難な家と土地。

困難である理由として、よくあるのが、道路事情。車社会になった今、道路に接していない土地では家を建てることができません。しかし、道路に接していない土地、車が必要ではなかった頃は、そういう場所で生活していた人たちもいらっしゃるのです。

また、道路に接していたとしても、接している道路の道幅が狭いというだけでも、売れにくいという問題は必ずついてきます。多くの人は、日々の生活の中で、車を利用するため、道幅が狭いことで起こるストレスを感じたくないと思うのは当然のことでしょう。

次に、住むことができない家があること。つまり、現存する家の状態が悪く、解体をせざるを得ないという状況。そんな空き家の場合は、どうしても売却しづらくなります。

将来、ご自身が住むことがない、不要だと思っているからこそ、管理せずに放置してしまいがちですが、このことがより一層、負の財産にしてしまうのです。

さらに、名義変更、手続き上の問題。売却する土地建物の売主は当然、その土地建物の名義人である必要があり、名義変更がされていないままの状況だと、売却はできません。

では、名義を変えれば良いのでは?と思いますが、日本全国、亡くなった人の名義になったままの家と土地は数多くあると聞きます。それぞれに理由があるのでしょうが、今回の最後の項目、相続の準備ができていなかったということが、1つの要因に上げられるでしょう。

将来の空き家を考える

先ほど書きました、売却したくてもできない問題を知れば、将来空き家になる可能性がある家は、空き家になる前に、対策が必要であることが想像できると思います。

親御さん(ご実家)のことをまず考えてみましょう。その家は、将来どうなりますか?将来空き家になる可能性がありますか?

この場合、土地の境界だったり、近所の方との付き合いだったり、周辺の状況を含めて、まずは親御さんに確認しておくことをおすすめします。また、住んでいるご本人の場合は、子供たちが自分の家を継ぐ、守る意志があるかどうか、確認しておきましょう。

道路に関しては、道路だと思っていた道が、実は道路ではないということがあり、空き家になって売りに出そうと不動産屋に行って初めて知ったという方は結構いらっしゃいます。

明らかに大きな道路ではない場合、親御さんもご存知ではない場合、市役所で確認しておくのも、ひとつの手立てです。

古い団地の場合は、道路が住民の共有名義ということもあります。先日相談に来られた方は、知らなかったけど、道路が当時の造成した会社のものだったと言われていました。不動産屋に聞くとよくあることらしいですが、こうなってくると周辺住民、自治会での話し合いなどが必要になってきます。

そのため、自分自身の土地の名義だけでなく、周辺についても、確認しておくとよいということになりますね。

また、建物の老朽化が問題で、売却が難しくなる場合。ご両親が亡くなる、あるいは、ご家族と一緒に住むために、空き家になるケースが考えられますが、その時に家を解体すること、そしてその費用をどう負担するかを検討しておきましょう。

他には、解体するほどでもない、でも、そのままでは売れないかも?と思われる場合に、先にリフォームをして快適な空間で住むということを考えてもよいかもしれません。

住まわれるている人が高齢であれば、「今更、家を修繕するなんて」と躊躇うケースもあると思いますが、将来的に売却する際に、きれいな方が売りやすいのであれば、思い切ってリフォームすることを考えても良いですよね。その方がお得ということもあり得ます。

さらに、名義変更の問題。これについては、贈与あるいは相続ということになりますが、先に、将来どうするかを話しあっておくと良いです。

一昔前のように、長男が家を継ぐ。という考えだけではなくなった今、長男は実家近くには居ないから、私が継ぐことになるだろう、と心の中で思っていても、実際には違う考えの人がいることもあるのです。遠方にいたとしても、お兄さんが、長男だから私がなんとかしなくては、と思っている可能性だってありますよね。

そのため、事前に話をしておくというのは、とても有効な対策になります。

空き家の相続に必要な準備

話し合いをしておくこと、と先ほど書きましたが、一番のポイントは、この「相続」の件で、揉めることがないようにするためです。

不要な空き家、だとすると、相続して嬉しいものではなく、嬉しくないものになるのが、最近の住宅事情です。核家族となり、それぞれが戸建ての家を持つようになった結果、どうしても、この問題が付いて回ります。

じゅうmadoを訪れる人に、実家のことを尋ねると、多くの人が特に考えていないと答えられます。そのため、家を建てる計画をするときに、将来のことを話すというのが一つのタイミングになります。

多くの場合、実家の近くに住んでいる子供の家族は、実家へ頻繁に出入りし、子育てで大変な時は、親を頼ることになります。一方で、仕事の関係で県外など遠方へ行き、その地で家族を持つ場合は、頻繁に実家へ足を運ぶことがないでしょう。

そのまま時が経てば、実家へ頻繁に出入りしていた、実家近くの子供の家族が、親の面倒、実家の手入れをすることになる可能性が大きいです。

親との関わり合いという部分では、同じ子供であっても、差が出てくると思われます。

長年、親との関わりがあったので、実家はその子供へ相続すると考えるのが自然なようにも思いますが、場合によっては、これが、揉め事の原因になるということです。

実家を相続したくない場合、したい場合、いずれにしても、権利は子供の間で平等です。親との関わり合いが無かった、兄弟姉妹だったとしても、相続の権利あるいは義務があるのです。

子供たち全員、相続したくない場合は、売却する。売却できれば、必要経費、利益分を平等に分ける。売却できても、利益はでず、必要経費で赤字になる、この場合でも、かかった経費は平等に分ける。

言うのは簡単ですが、1円でも多く払いたくない、1円でも多くもらいたい、などの思いが各々あると、いくらで売るのかという具体的金額についても、話合いが必要になるでしょう。

先ほど、1つのきっかけが、家を建てる時とお伝えしましたが、このタイミングだとまだお子さんが小さくて、ご両親も若くて、具体性や実感がなく、軽い気持ちで話した程度になりがちです。時が経てば、人の思いは変わることも考えられます。

費用面だけでなく、手続きにかかる雑務の時間や、過去の親との関わりの時間など、対価としてわかりづらいところを、主張し始めると、揉めるのは必死です。

ひとつの方法として、後々にも冷静に判断ができるものになるよう、それらの出来事を日記でも良いので書き留めておくとよいかもしれません。

売却しない場合でも、管理するのに、費用がかかります。この費用については、誰が負担するのか、いざ売却して、分けるとなった段階で、それまでにかかった費用を差し引くのか。

ひとつひとつ考えたり、話合いをしたり、小さな金額だと思わないで、面倒だと思わないで、都度書き溜めましょう。ご自身の考え、家族の考え、両親の考え、兄弟姉妹の考え、その家族の考えは、各々違いますし、その時の事情、背景によっても変わるものです。

お一人の考えやお一人が書き溜めた内容だけでは、不十分だとも言えます。家族や兄弟の考えを都度記録しておくのもよいかもしれませんね。

あなたは揉めない自信がありますか?

もし、話合ったり、書き留めたり、準備することが面倒だと思われるのであれば、どういうことになったとしても、あなたが何も主張しないと、心に決めておけば、揉めることはないでしょう。しかし、自分以外の誰かの主張をあなた自身の考えと合致させたい場合は、準備しておく必要があるのです。

相続するご本人の場合は遺言状を用意しておく。相続される側の場合は、あなた以外の相続人と考えが一致するようにしておく。例えばそれが、遺言状に従うということであれば、遺言状を書いておいてもらおうね。ということも、相続人同士で意見を一致させておくべきでしょう。

そして、不動産に対してお金の面での事前準備としては、住宅診断住宅査定があります。維持し続けるための家であれば、将来に向けてどれ程のメンテナンス費用がかかりそうか、売却したい家であれば、どれほどの価値がありそうか住宅査定を行ってもらうのです。それらの費用面や売却益を話し合いの参考にされると良いでしょう。

(じゅうmado宇部 川村菜穂子)

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