前回、タイパをテーマに効率的な住まいについて、お話してみました。最近、○○パという言葉をよく耳にしますよね。そこで、今回は「スペパ」をテーマにしていこうと思います。
スペパとは・・スペースパフォーマンスの略。家づくりに関して、スペースの有効活用というのは、結構、重要ポイントですよね。
スペースパフォーマンスをあげるためには、何をどうすれば良いのでしょう。いろいろな部分で、工夫することができると思いますが、今回は、その中のいくつかを取り上げてみます。ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
スペパの向上・目的を明確にすること
前回触れた、タイパ(タイムパフォーマンス向上に関する記事でも、動線、片付けを話題にしたように、時短の観点でも、スペースをどう使うかは重要でした。
住宅のコンパクト化が進む中で、限られたスペースを最大限に活用することで、よりよい家づくりができます。
ただし、使いにくい場所にむやみに収納をつくってもそれは有効活用とはいえません。あれば良いかも?ではなく、このような目的でここに必要と考えられたスペースをつくるよう心がけましょう。
役割を考え「スペースを多機能化」する
空間効率を上げる、ひとつの考え方として、役割分担、あるいは、役割を複数もたせて、多機能空間にするなど、考え方を整理してみると、ヒントが見つかります。
例えば、以前にとりあげたことがある「ヌック」。これは「ライフハック」というテーマで説明しました。心地よい空間、場所でもあるのですが、ある意味では余剰スペースのようなものですよね。
このヌックをうまく活用することで、ライフスタイルの変化にあわせて、利用する目的を変えることができます。
家族のくつろぎの中心であるリビングにコーナーを設ければ、共有できるスペースにもなります。時には、仕事部屋として、時には家事室として、昼寝スペースとして、本を読むスペースとして、宿題をするスペースとして。どう利用するかによって、床の高さを考えたり、机を置いたり、棚をつくったり、発想を広げましょう。
子供の成長と共に、その場所で宿題することは無くなるかもしれません。お母さんが働きに出るタイミングで、昼間利用することがなくなるかもしれません。リモートワークをしていたお父さんの職場が変わるかもしれません。このように、時と共に、状況は変化し、ニーズも変わってくるものです。
例えば2階建てで吹き抜けがあるとしましょう。吹き抜けの周りにある廊下スペースを少し広げて、机をおいたり、棚を置いたりすることで、子供が宿題をする場所にもなりますし、2階に干した洗濯物をたたんだり、アイロンを掛けたりすることもできるようになります。
ワークスペースを各部屋に設けるのではなく、共有部分に設けること、そうすることで、1つのスペースが多機能化する。イメージできましたでしょうか。
タイムスケジュールでスペースを共有
ライフスタイルの変化だけでなく、1日の中の利用時間を家族毎に想定することで、より具体的な利用の仕方をイメージでき、スペパにつながります。
家計簿をつける時間、宿題をする時間、仕事をする時間、本を読む時間、誰がどのタイミングでそのスペースを利用するか、例えば、子供部屋に勉強机を設置した場合、子供が学校にいる間は、利用しない場所になりますが、共有スペースにすることで、子供が居ない昼間はお母さんが利用できるワークスペースになるという考えです。
また、有効利用は、共有することで可能になりますが、もちろん、共有だからこその問題点、不便さも想像しておくと良いでしょう。
共有で利用するためには、一番重要ともいえる、片付け、収納スペース問題。例えば、昼間使った家計簿やパソコンなどが机の上に置きっぱなしでは、子供たちが帰って来た時に、宿題をすることはできません。その逆もそうです。片づけない子供たちに、ついつい、声を大にしてしかってしまう、というようなことにならないようにしたいです。家づくりを考えるということは、教育方針にまで、話が及んでいくことになります。
使いやすい場所、しまいやすい場所、整理整頓しやすいように、何をどこに置けばその場所が使いやすくなるのか、をしっかり考える必要がありそうです。
この考えることこそが、スペパに繋がります。
不要な空間や設備は省く!
一般的な住まいには付いていても、我が家には不要というものは、思い切って設置しないのもスぺパのコツ。
最近の間取りで省かれている空間では、玄関ホールやバルコニー、設備仕様では、下駄箱、洗濯パンなどでしょうか。
タイパの話でも、出てきましたが、室内干しや乾燥機利用が中心という家庭が増え、物干しスペースとしてのバルコニー需要は減少しています。その代わりに、屋内にランドリールームを設け、バルコニーは付けないパターンも多くなっています。バルコニーの掃除やメンテナンスに係る費用を省ける点も省くメリットがあります。
動線を具体的に想像してみる
1階で洗濯をして、2階まで干すために持って行く、その動線の長さも問題でした。年齢と共に、2階へ上がることが大変になることもあり、最近では、最初から平屋建てであることも多いため、バルコニーではなく、テラスで物干しというケースもありますね。
時々しか使わないけど、あこがれのウッドデッキをどうしても設けたいという人にとっては、あえて屋内にランドリールームとして、物干しスペースを確保しなくても、外干しを考えた方が、効率的でスペパになりそうです。
また、玄関ホールを最低限にするケースも多いです。玄関入ってすぐにLDKなどの居室がある空間づくり。LDKをその分広く取れ、開放感が増すだけでなく、動線も短くなります。
収納するものを具体的に想像してみる
玄関の広さでその家の立派さを表していたのは、遠い昔の話。それでも、一世代前であれば、そのような昔の家をみたとき、玄関が広々していて立派だと、ついつい、すごいな。と思ってしまうものです。
現代の家づくりでは、それだけ、ゆとりが無くなったとも言えますし、見栄は不要で等身大の生き方を望む人たちの想いの現れなのかもしれません。
ただし、最近の家づくりでは、玄関ホール自体不要でも、玄関回りの収納のスペースは、かなり広くなっています。それだけ、玄関に置く物が多いということでしょうか。このあたりは、本当に家族の暮らしにあっているかどうか、家族の暮らし方に関係してきますので、しっかり考えて欲しいと思います。
この玄関収納は、自分たちの暮らし方の中で、本当の意味で「スペパ」になっているでしょうか?あると便利だ。と設計の人に薦められた。友人宅で便利そうに感じた。というだけで、計画してしまっていませんか?
デッドスペースを考える
デッドスペースとは、どういうスペースでしょうか。使っていないスペース、そんなスペースがあるなら、当然有効的に活用したいですし、それこそ「スペパの基本」だと思いますよね。
では、皆さんが考えるデッドスペースとはどこでしょうか?
階段下の有効活用
まず思い浮かぶデッドスペースとして、階段下があります。この階段下を有効活用する方法としては、収納にしたり、トイレにしたり、オープンスペースにしたりしている例があげられます。
リビング階段で、階段下がオープンであれば、リビングが広く感じられますよね。広く感じるリビングというのは、居心地が良いもの。
リビング階段の下でも、場合によっては、収納として活用する例もあります。階段の形状にあわせて、棚をつくったり、引き出しを作ったり、リビングにあると便利だと思うものを、しまう場所として考えると良いでしょう。
いずれにしても、リビングのどの場所にその階段があるかによっても、使い方は間違いなく違ってきます。くつろいでいる視界に入るか入らないか、2階に上がる際の動線がどうなっているか、様々な視点から考えてみてくださいね。
吹き抜けはデッドスペース?
空間を広く感じる方法として、吹き抜けをつくる、という設計は、よくありすが、この吹き抜けは、ある意味デッドスペースと考える人もいるかもしれません。そもそもは、吹き抜けは、2階に床が無い部屋。床をつくれば、十分に有効に利用できるはずですよね。
住宅のコンパクト化が進む中、そもそも、平屋希望が多い中、階段や吹き抜けについては、存在すらないというケースも増えてはいますが、平屋であれば勾配天井にするなど、空間を広く感じさせる工夫はあっても良いと思います。
このように、設計の方法や、考え方は、ひとつではなく、固定されるべきものでもありません。様々な観点から検討したうえで、よりよい空間をつくる必要があるということです。
収納がたくさんあれば
どこの場所であろうと、デッドスペース全般、できるだけ収納にするというのもよく考えることだと思います。ただし、つくる場所をよく検討する必要があるでしょう。
間取りを考える際に、必要寸法のLDK、ホールなどを計画したところ、ちょっとした余った空間ができたから、収納にしておこう。というようなことは、よくあります。収納はあればあるほど良いと思われがちですか、実際には、そんなことはありません。
使いにくい場所にあっても、結果的には使わなくなるものです。例えば、床下収納。点検口を兼ねていることが多いので、せっかくなら収納にしておこうという親切心からかもしれませんが、使わないのであれば無駄なものです。
床下収納を使わない理由は、やはり出し入れがしづらいからではないでしょうか。
他にも、屋根裏空間を「小屋裏収納」として、活用すること。季節替わりの家電や思い出の品を置いておく。年に数回しかない親御さんが宿泊するときのためのお布団など。考えられる物はいくつかありますか、いずれにしても、しまいやすい、取り出しやすい場所ではないということを念頭に入れて必要であれば設計するようにしましょう。
空間設計によっては子どものための空間や趣味の部屋として利用することも可能です。収納式のハシゴなどではなく、危険のない、上り下りしやすい階段を設けたりする場合は、そのものがデッドスペースにならないかも考えた方がよいですよね。

まとめ
「コスパ」「タイパ」そして「スペパ」の観点で、家づくりが見直される。 「皆さんがこう」「最近はこう」という、一般的な切り口も、時には必要だと思いますが、自分なりの目線での「時短」。機能だけでなく、無駄な場所をつくらない「空間活用」を考えることで、生活のリズムを快適にすることができます。
「モノを持たない暮らし」もライフスタイルとして定着しつつありますが、その根源にある住まい手の思いは、そんな単純なことではなく、様々な要素が絡み合っているはずです。「予算の限界でスペースが取れない」「もっとすっきりみせたい」「リラックスできる空間にしたい」「趣味の部屋が欲しい」「癒しの空間がほしい」といった欲望が、家づくりの中にはあるのではありませんか?
コンセプトとして「快適な暮らしを提供する」という建築会社はたくさんありますが、快適な暮らしとはどんな暮らしなのか?それは、そこに住む皆さん自身の考えによって異なるものです。建築会社任せになることなく、スペパの考えを自分自身で取り入れるようにしましょう。
生活スペースは、ギュッと狭く効率重視、自身の趣味の世界は有意義になるように広げる、ゆとりを持たせるということを考えて良いかもしれませんよね。このような行動は決して、建築会社がもつ一般的なデータとは紐づかないものです。
ご自身にとって、何が大切か、矛盾するところはどこか、家づくりには思考の整理は不可欠です。ご自身では、何をどう整理したら良いのか、何をどう考えたら良いのか、わからなくなったら、相談窓口をたずねてみて下さい。大切なことを「言語化していく」そんな作業をお手伝いすることができます。



